保護者の方に伝えたいメッセージ
2024年7月22日
ページ番号:38769
ここでは、前述の「こどもにはぐくみたい5つの力」をはぐくむ取り組みを具体的に進めるにあたって、こどものすこやかな育ちを願う保育所や幼稚園、在宅子育て支援機関の関係者(支援者)と保護者に対し、<支援者から保護者>、<保護者からこども>を見つめる「まなざし」として心に留めていただきたい視点を挙げます。
保護者は、こどもの日々の生活の中で心身ともに一番身近な存在であり、その一喜一憂をこどもはとても敏感に感じ取るものです。そして何よりもこどもを育てる当事者としての喜びと悩みを直接引き受ける立場にあります。そうした保護者の育児不安を軽減し勇気付けること、子育ての楽しさやうれしさを実感できる気づきの場を設定することが、今、支援者に大きく求められています。
ここに挙げた7つのメッセージが、支援者が就学前のこどもを育てている保護者にかかわる際の一助になることを期待します。

一人一人、みんな違ってあたりまえ
こどもたちは、自分に合った発達のペースとステップをそれぞれもっています。何気なく日々生活していく中で、こどもは次のステップへの準備をゆっくり整えています。できるようになっていくこともペース配分も自分流、違って当然なのですからあせらなくていいのです。
また、発達のステップを踏むごとに、身に付けていく動きや気持ちの表現の仕方も、こども一人一人個人差があります。表現の違いはこどもの個性なのです。こども一人一人がもっている伸びる力に、周囲の大人はちょっと手を貸しながら、「できるようになったこと」が少しずつ増えていくことを、こどもと一緒に喜び合いましょう。
こどもたちが準備しているのをあたたかく見守り、手助けするとともに、こどもの準備OK!のサインを見逃さないようすることが大切なのです。
こどもの成長は、一人の人間の貴重な歴史の1ページであり、私たち大人はサポーターです。その成長ぶりをこどもと一緒に楽しみましょう。そして、その成長を、こどもたちに話すことができる日を楽しみにしましょう。
【支援者のかかわり】
保護者が、こどもの見た目の体の大きさや年齢ではなく、心身の発達準備状態を適切に把握できるよう、援助を行うことが必要です。
保護者は、支援者のように「いろんなこどもがいてあたりまえ」という思いには、なかなかなれなくて当然です。保護者の思いをまず受け止めてから、たとえゆっくりであっても、着実にこどもが成長していることを、保護者が気付くことができるよう、こどもの日々の様子を保護者にたくさん伝えましょう。その上で、こどもの準備OK!な状態に即した、具体的なかかわり方も併せてアドバイスすることが大切です。

どのこどももみんな、光るものをもっている
「あなたのお子さんはどんなこどもさんですか?」と尋ねられたら、どんなふうに答えますか。「一度ぐずりだすと、絶対言うことを聞かない」とか、「気が弱くて、友達におもちゃを取られ、いつも泣かされている」のように、ついつい思ってしまうことはないですか。
でも、周りの人の客観的な意見を聞いてみると、案外「意志が強い、自分の意見が言える子」や「気が優しい子」というプラス評価だったりします。
どのようなものも両面があります。ぜひ、よい方向からこどもたちを見てあげましょう。こどもの性格をいろんな言葉で表現してみると、きっと、困った行動もポジティブな一面をもっていることに気付くことでしょう。
こどもの姿をもう一度じっくり見てみると、「キラリ」と光るよいところが必ず見つかります。それをたくさん見つけることが、周囲の大人の役目ですから、見つけたらこどもにそれを伝えて、いっぱいほめてください。
【支援者のかかわり】
大人は、ついついこどもに注意したり、叱ったりという言葉がけが増えてしまいます。もちろん、どんな行為でも容認する必要はありませんが、「だから言ったでしょ!」や「どうしてできないの!」「早くしなさい!」が、口癖になっている大人を見かけることはありませんか。
保護者は、毎日身近にこどもと接しているわけですから、こどもに望むことも、ついつい大人の自分と同じ目線で求めがちになります。
保護者が、「こどもはこれから成長していく頼もしい存在」として、現在のこどもの姿をポジティブに受け止められるよう、保護者と一緒に、「こどものよいところ探し」をいっぱいしていきましょう。

こどものことばにじっくり耳を傾けよう
「どうしてこんなことするんだろう」大人は、こどもの行動に絶えず戸惑いを感じています。でも、その行動には、こどもなりの理由があるものです。
子育ての中では、ついつい大人の視点で見てしまいがちですが、こどもはこどもの人生を歩んでいきます。「生きていくのに必要だから」というしつけも大事ですが、「この子はどう感じているのだろうか」「どう思っているのかなあ」と、こどもの立場で考えてみると、見えてくるものがあります。「この子は、こんなふうに感じているんだ」と理解することが大事なのです。
横に並んで歩いていても、こどもと大人の目線の高さは全然違うので、見えているものや感じていることは違ってあたりまえです。日常生活の中で、こどもの何気ないつぶやきや伝えようとしている言葉に、耳を傾けるようにしてみてください。
そして、こどもの行動に「どうして?」と思ったら、大人の目で判断しないで、こどもの声をしっかり聴いてみてください。そして、その理由に対する答えを返してください。
人に話を十分に聴いてもらったこどもは、自分の考えをしっかり表現することや、人の話をじっくり聴くことができるようになるのです。
【支援者のかかわり】
毎日、忙しい中で育児を頑張っている保護者に、「もっとこどもの話を聴いてあげてね」と伝えることは、負担を感じさせるのではと、ためらいがちになるものです。しかし乳幼児期に、「聴いてもらう満足感」を感じ、「伝えようとする意欲」が湧くことが、こどもが自分の存在を確認し、自己肯定感をもって生きていくために、いかに大切なことかを保護者に伝えることが支援者の役割です。
そして、こどもの声を聴くこと(否定や指示ではなく、「どうしたの?」「どうしたかったの?」と一緒に考える言葉がけ)ができるよう、保護者のしんどさに共感し思いを受け止めながらも、具体的なかかわり方を助言してください。

こどもの力は身近な生活体験で伸びていく
こどもは、実際に体験し感じたことに、心を動かされ成長していきます。大人と違って、知らないことや経験したことのない気持ちを、頭の中だけで理解することはむずかしいのです。
こどもは、ひとつの体験から様々なことを学び感じ取ったり、いろんな体験の積み重ねからひとつのことに気付いたりします。
でも、「何か体験させなくちゃ!」と休みのたびにお出かけしたり…とがんばりすぎる必要はありません。近隣の公園で遊びながら四季の変化に気付いたり、おうちの中でのいろんな生活場面(お洗濯やお掃除、食事づくりなど)を見ることやお手伝いをしたりすることも、こどもにとっては貴重な体験なのです。
たとえば、「お手伝い」の体験から、「家族の一員としての自覚」「お願いね、と頼りにされる喜び」「役に立ち感謝されるうれしさ」「自分はいろんなことがやれるんだという自信」など、こどもはいろんなことに気付きます。
日々忙しい生活を送る中で、こどものペースに寄り沿うことは大変です。しかし、こどもが体験している時間を大事にし、そのそばで「待つ」こと、「見守る」ことが大人の大切な役目なのです。
こどもは「体験させられる」のではなく、「体験する」ことによってその記憶を心や体で覚えていくのです。どうか、貴重なその一瞬一瞬をこどもと共有する喜びをたくさん味わってください。
【支援者のかかわり】
「こどもの成長にはいろんな体験が大事だ」ということを、多くの保護者は理解しています。しかし、「体験させる」ことを特別なことだと思いすぎて、日々の家庭生活以外の刺激を一生懸命与えようとしている場合があります。
こどもにとっては、日常生活そのものが日々体験であること、その中で、自分でできることを少しずつ自分でするようになるという経験が、心の育ち・体の育ちのどちらにも大切であることを伝えることが必要です。
また、日常生活におけるこどもの生活範囲は、家庭、保育所や幼稚園、在宅子育て支援機関など、大人に比べると限られた範囲ですが、「安心できる場所」「友達と会える場所」など、自分なりの価値を感じ、必要としています。
場所によって、主となってかかわる大人は変わっても、受け止めるこどもは一人です。それぞれの場所で体験することが、こどもの中で適切に統合され、つながりをもったものとなるよう、家庭の状況や保護者の思いなどを十分把握し、家庭生活と各関係機関での活動との連続性を重視したかかわりをもつようにしましょう。

一緒って楽しいね、うれしいね
こどもと一緒の生活はあわただしく、「あれもこれもやらなくちゃ!」と思っているうちに、あっという間に寝る時間、なんてことは日常茶飯事です。それに、こどもはなかなか大人の思うようにはなりませんから、ついつい「あーしんど!」と、ため息が出てしまう日もあるのではないでしょうか。
私たち大人は、目の前にある「しんどさ」で頭がいっぱいになると、「楽しいこと」「うれしいこと」が見えにくくなりがちです。でも、こどもは「一緒って楽しいね。うれしいね」と養育者との日々の生活を楽しんでいるのです。
そして、私たち大人も、本当は日々、たくさんの楽しい時間をこどもと過ごし、その笑顔やちょっとした一言に元気をもらっているのです。
私たちを元気にしてくれるこどもの笑顔の源は、保護者の方の笑顔とあたたかい語りかけなのです。
【支援者のかかわり】
最近、こどもと時間を過ごすことが苦手な保護者がいるようです。初めて育児を経験される方に多いようですが、熱心に地域の子育て支援の場などに参加されている方でも、実は、「家でのこどもとの遊び方が分からない」という不安感を抱えておられることもあります。
一方で、こどもが保育所や幼稚園に通う年齢になると、「何で上手く子育てできないんだろう」とこどもとの距離感を感じてしまう保護者も多いのではないでしょうか。
こどもとの距離が最も近いからこそ、保護者は「私の思いはこどもに伝わるはず。こどもの考えていることは、私にはわかるはず」というプレッシャーを感じていることがあるのです。たとえ親子であっても別々の人間であり、言葉や態度などの表現なしに全ての思いが伝わることはないことを、保護者が理解するよう、具体的な例示を伝えていくことが大切です。
保護者が、「自分の一部」ではなく、「自分とは違う個性をもった一人の人間」という視点で、こどもとの日々のやりとりを見つめなおしてみれば、自分に向けられるこどもの表情や言葉、行動などの中に、「大好きだよ!」というメッセージをたくさん発見できるはずです。支援者は、その支援をすることが必要です。

失敗してもへっちゃら!もう一回やってみたい!
こどもの沈んだ悲しい表情を見るのはつらいものです。
「失敗したらかわいそう」と心配するあまり、「できないんだから止めておきなさい」と途中で止めさせたりしたことはありませんか。もしくは、こどもが最後まで仕上げる前に、その手を止めて大人の手でさっさとやってしまった、ということはありませんか。
こどもは「小さな大人」ではありません。何もできない状態で生まれ、少しずつできることを増やしていく、それがこどもなのです。成功や失敗という結果よりもまず、やってみるということ、経験するということがとても大切なのです。
失敗は成功のもとです。こどもは、少しくらい失敗しても、周囲の大人が支えていれば、必ず立ちあがります。
そして、「またやってみようね」とそばで応援することで、こどもはもう一度チャレンジしようと思います。失敗体験は、大人だってつらいものです。でも、失敗の先に成功があるという経験がないと、失敗を自分でどう対処したらいいのか分からない大人にならないでしょうか。
失敗したときが、次に伸びるチャンスです。どうか、こども自身でゴールにたどり着くことができるよう、そっと後ろから支えていてください。
【支援者のかかわり】
最近、積極的に自分でやってみることを怖がるこどもがいます。みんなと一緒だといろいろできるのですが、いざ、「じゃ、一人でやってみよう!」と促すと、急にモジモジしたり、「やらない…」と拒んでみたり。
今のこどもは、人前で失敗することに慣れていません。心の奥には、こどもならではの「やってみたい」気持ちがあるのですが、「失敗したら恥ずかしい」「うまくいかなかったら怒られる」というマイナスの記憶が残っていると、「やってみよう」という勇気が湧きにくいのです。
失敗を失敗で終わらせず、リカバリーできた経験は、こどもに「やればできる」という自己肯定感や達成感、満足感を味わわせ、次に進む意欲をはぐくみます。この繰り返しで、こどもは様々なことを身に付けていくのです。
こどもの意欲をはぐくむためには、最も身近な支援者である保護者自身に、こどもの失敗を恐れない気持ちをもってもらうことが大切です。そのためにも、各関係機関での生活の中で、いかにこどもが日々たくさんの失敗を克服しているか、その生き生きとした姿を保護者に伝えてください。

一人で悩みを抱え込まないで
現在、就学前のお子さんを育てておられるお父さんやお母さんの中には、「我が子が生まれるまで、あかちゃんを身近に見たりふれたりすることがほとんどなかった」という方が、けっこう多いのではないでしょうか。
あかちゃんとの生活は全てが初体験で、うれしいこともたくさんあるけれど、「これでいいのかな」と不安を感じて、どうしようと悩んだり、誰かに相談したいなと思ったりすることもありますよね。
そのようなときは、近くの地域子育て支援センター、保育所、幼稚園などへ相談してみてはいかがでしょうか。これらの機関では日々、保護者の方々の相談に応じています。小さなこどもが遊び、生活している様子を間近に見ることができます。
また、毎日の生活の中で、「こどものこと、自分のこと、誰かと気軽に話したい。」「子育て、ちょっと助けてほしいな」と思うこともありますよね。そのようなときは、あなたの周りにあるいろいろな子育て支援の制度や地域のネットワークをおおいに活用しましょう。同じような思いをもった親同士が出会い、つながっていくきっかけづくりや、「子育てちょっと休憩!」のリフレッシュをお手伝いするなど、さまざまな方法であなたを応援しています。しんどいときは、一人でがんばらなくていいのです。
気になること・困ったことがあれば一人で悩まないで、まずは身近な子育て支援、保育・幼児教育の専門機関に相談してみてください。
【支援者のかかわり】
日々、集団の中でこどもを見ている専門職は、保護者よりも早く、こどもの抱える問題に気付くことがあります。我が子だけを毎日見ている保護者の場合、そのことに気付かずに過ごしてしまうこともあったり、また反対に、口には出さないけれど、何となくこどもの成長に問題を感じている保護者もいます。
こどもの成長にかかわる問題を保護者と話すときには、まずはさりげなく家庭での様子を聞いてみたり、機関での姿を伝え、「おうちではどう?」と尋ねたりするなど、保護者の思いに寄り添い、保護者の不安感を高めないような配慮が必要です。憶測で具体的な病名(診断名)を口にしたり、「成長が遅いのでは」などと不安を感じさせるような表現はしないようにしましょう。
その上で、必要だと判断したときには、区保健福祉センター(子育て支援室や発達相談)へ相談するよう、アドバイスしてください。
また、現状の子育てに「しんどさ」を感じている保護者には、その保護者のしんどさをやわらげるのに適切な支援策をアドバイスできるよう、常に地域のネットワークや子育て支援施策に対する情報収集をしておくことが大切です。
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